トミダ カツミ   TOMIDA, Katsumi
  富田 克巳
社会福祉学部 社会福祉学科
助教
発表年月日 2015/05/31
発表テーマ 妖怪絵本の歴史と現状―子どもたちに伝えたい自然観と関わって
発表学会名 第18回絵本学会大会
主催者 絵本学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 東京
概要 保育園の1歳児クラスから、追いかけられたり隠れたりといった遊びが楽しめるようになってくる。そこに「オバケ」など想像上のイメージの世界を重ねることによって、さらにワクワク感ドキドキ感は高まっていくことになる。こういった遊びはおそらく家庭でも行われているのではないだろうか。1歳半を過ぎるころからイメージの世界が持てるようになり、見えない「扉」の向こうが気になりだし、それが探索の意欲にも繋がっていく。そのような子どもの心をくすぐるかのように大人は、子どもとの生活や遊びの中で、「あれなんだろう?」「変な音がしたよね」「おばけかも?」といった会話を一緒に楽しむ。子どもたちはおばけの世界が、怖いけれど、いや怖いからこそ、大好きなのである。しかし、一線を超すと怖くて泣けてしまい、精神的なダメージを受けることにもなる。
 お化けの世界は多くの子どもたちの中に興味の対象として入り込んでおり、お化けと絵本とは切り離せない関係にあるといえる。しかし、草双紙の時代から子どもたちに愛されてきたお化けではあるが、大正以降の絵本の世界ではなかなか受け入れられないでいたようだ。70年以降になってようやく、クリクリ頭の白い布を被ったような足のない「おばけ」なるものが日本の絵本の世界に登場するようになる。このタイプの可愛い「おばけ」は根付いていったが、草双紙に出てくるような妖怪の登場は、瀬名恵子のおばけえほんシリーズ(74年~)、川端誠の妖怪絵本(84年~)と続くが、絵本界全体にはそれ程広がりをみせてはいなかった。ところが、妖怪ウォッチ流行以前の2011年に『妖怪横丁』『ようかいガマとのおイケにカエる』、怪談えほんシリーズ『悪い本』『マイマイとナイナイ』が発刊されると、妖怪絵本の出版の勢いは止まらなくなり、現在に至っている。この状況から、妖怪を許せる絵本界・教育界の意識の変化と子ども(人間)と自然との関わりへの絵本表現者、編集者からの思いが感じられる。