ヤマナカ タケヒコ   YAMANAKA, Takehiko
  山中 武彦
健康科学部 リハビリテーション学科
教授
発表年月日 2018/08/25
発表テーマ “人に教える学習手法”を用いたアクティブラーニングの研究  ― 学習者間評価を取り入れたプログラムの開発 ―
発表学会名 全国リハビリテーション学校協会 第31回教育研究大会・教員研修会
主催者 全国リハビリテーション学校協会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
開催地名 北海道恵庭市
発表者・共同発表者 山中武彦 中村泰久 来島修志 野間知一 石井文康
概要 【目的】 各種存在するアクティブラーニング(AL)手法の中で,“人に教える学習(Learning by Teaching;LT)”は高い教育効果が得られることが知られている。しかしながら,その方法として定型的なデザインが存在しないのが現状であろう。今回我々は,通常のLTと学習者間評価(Peer Assessment;PA)を取り入れたLT(PALT)の学習効果について比較検討した。
【方法】 研究デザインは非ランダム化比較試験とし,6-7月に開講した演習科目において2016年度はLT群(36名),2017年度はPALT群(44名)の学習効果を比較,検証した。対象は4年制大学作業療法養成課程4年次学生を年度別に割り当て,教育内容は週1回, 6~8名の小グループで各学生はLTを10回実施した。LT課題は学生が選択した学習テーマについてグループの学生へ15分以内に板書と口頭で教授する内容とした。PALT群は,初回のLT後に学生間でPA(情報の分量,図表の使用,内容の妥当性など10項目を採点)を行い,これを次回以降のLT準備の参考にすることとした。学習効果の評価は過去の国家試験問題から標的領域問題を抽出し,初回授業時と最終授業時に異なる100問の筆記試験から両群の成績を比較検証した。
【結果】 初回授業時における両群間の成績に差はなかった。最終授業時の成績はLT群(53.9±8.5点)に対しPALT群(72.8±15.5)が有意に高い成績であった(p<0.05)。なお,PALT群に対し終了時に実施したアンケートの結果では,「PAで指摘を受けたことがその後のLTの準備や実施に役立った。」とのコメントが多く寄せられた。
【考察】 ALでは, LT形式の学習効果が高いとされるが,これには「他者に理解しやすく教えなければならない」という心構えが影響するとの報告がある(Nestjiko et al,2014)。結果より,PAを取り入れたLTには,より客観的な自己評価の機会を与え他者への教授を意識した学習態度を促す可能性が考えられた。