ユハラ エツコ   YUHARA, Etsuko
  湯原 悦子
社会福祉学部 社会福祉学科
    社会福祉学部 社会福祉学科
教授
発表年月日 2019/09/21
発表テーマ 元非行少年が自らの回復のストーリーを語る意義と効果
発表学会名 日本社会福祉学会 第67回秋季大会
主催者 日本社会福祉学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 大分大学
発表者・共同発表者 湯原悦子
概要 抄録p77‐78

本研究では、日本において、過去に非行を行った少年が自らの回復のストーリーを他者と分かち合った場面に焦点を当て、聞き手である他者が少年の話をどう受け止め、どのような認識の変化を自覚したのかについて明らかにすることを目的とする。再非行防止をミッションとするNPO法人Aの協力を得て20名の少年の語りと参加者アンケートの回答を調査データとし、「聞き手である他者が少年の話をどう受け止め、どのような認識の変化を自覚したのか」について確認した。結果、全体として「立ち直りに必要なこと、立ち直りの鍵となるもの」についての言及が多くを占めた。そして困難が多々あるなか非行をせず今に至り、皆の前で堂々と話ができるなど「少年自身の力」を認める内容、話し手の少年の〝今″を承認する「称賛」が続いた。加えて、話し手の少年の心情(寂しかった等)への理解も数多く見られた。「立ち直りの鍵となるもの」については、「立ち直りにあたってはこのようなことが必要だと思う」という考えを示すとともに、鍵となるものついては親の存在、人との出会い、環境、相談できる人・信頼できる人・支えてくれる人の存在、少年自身の自覚、人とのつながり、支援内容など、幅広い視点からの言及がなされていた。矯正関係者、一般参加者ともに「立ち直りの鍵」として人との出会いへの注目、「本音」を聞けたとの思い、処遇のあり方、「人は変われる」との思い、「立ち直りの鍵」として人との出会いに注目していた。一方、非行少年の親は、「立ち直りの鍵」としての親、少年の「素直」さ、「自身の振り返り」、少年を「応援する気持ち」の4つのカテゴリが特徴的であった。非行経験者は、矯正関係者、一般参加者、親のどの属性とも異なる傾向を示しており、独自の感じ方をしていることが確認できた。