バンノ ヤスヒロ   BANNO, Yasuhiro
  坂野 裕洋
健康科学部 リハビリテーション学科
准教授
発表年月日 2021/03/08
発表テーマ 脊椎圧迫骨折後の急性腰痛に対するTranscutaneous Electrical Nerve Stimulationの鎮痛効果に関する検討
発表学会名 日本ペインクリニック学会第1回東海・北陸支部学術集会
主催者 日本ペインクリニック学会
学会区分 地方学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催地名 Web
発表者・共同発表者 坂野裕洋,村田 淳,松原貴子
概要 【緒言】Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation(TENS)は,下行性疼痛抑制系や脊髄内の疼痛調節系の賦活による鎮痛を目的に用いられる物理療法であり,刺激部位の遠隔でも鎮痛効果が期待されている。一方,脊椎圧迫骨折(VCF)は椎体の圧壊に伴う腰背部痛を主症状とし,軽症例では受傷から約2週間のベッド上安静とベッドサイドでの運動療法が行われる。本研究では,VCF患者の安静期間に行われる運動療法の補助的手段としてTENSを併用した際の鎮痛効果や機能改善に及ぼす影響について検討した。
【方法】対象は,VCF後に保存的治療のため14日間のベッド上安静となった入院患者32名とし,性別で層別化した後に乱数表を用いて疑似TENSを行うsham群13名とTENSを行うTENS群に無作為割付を行った。なお,全ての被験者はNSAIDsやアセトアミノフェンを服用していた。TENSは,左右の僧帽部(非有痛部)に電極を貼付し,安静期間中に毎日行われる運動療法の前に20分間実施した。評価は,体動時の疼痛強度(VAS),抑うつ・不安(HADS),痛みに対する破局的思考(PCS),恐怖回避思考(TSK),機能障害(PDAS)について,治療者とは異なる盲検化された評価者によって安静期間の前後に行われた。
【結果】安静期間前の値は全評価項目で群間差を認めなかった。TENS群のVASは安静期間前後で有意な改善を認め,期間後の値はsham群と比較して有意に低値であった。一方,その他の評価項目については両群で安静期間前後に差を認めず,期間後の値も群間差を認めなかった。
【考察】VCF患者のベッド上安静期間に行う運動療法とTENSの併用は,疼痛管理の手段として有用である可能性が示唆される。しかしながら,痛みの情動・認知的側面および機能障害に対する改善効果は明らかでない。ただし,本研究の制限として対象者数が少ないこと,TENS部位が罹患部遠隔で罹患有痛部TENSについて未検討であることから,さらなる検討を要する。