モリモト シンタロウ   MORIMOTO, Shintaro
  森本 真太郎
健康科学部 リハビリテーション学科
助教
発表年月日 2019/09/06
発表テーマ 作業療法学生はスプリント作成実習でどのような体験をしているのか? ―構造構成的質的研究法を用いたKJ法による意味体験の整理―
発表学会名 第53回日本作業療法学会
主催者 一般社団法人 日本作業療法士協会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
開催地名 福岡国際会議場
概要 作業療法における手のスプリント療法で最も重要視される考えは,運動機能が作業遂行に与える影響であるため,作業療法学生が学内のスプリント作成実習(以下,授業)を通してその考えを体験することは重要なポイントである.しかし,学生が授業体験を通して抱く心情や意味を問う研究はこれまで行われていない.
 学生が,スプリント作成をどのように位置付け,どのような体験から,どのような意味を見出しているのかという根本を捉え,授業中の多様な意味体験を整理することを目的とする.この結果から作業に根ざした授業内容を構想するための示唆を得ることとした.
 構造構成的質的研究法をメタ研究法として導入した.対象は授業に参加した学生4名.サンプリングは,学生の心情を広く捉えるため,スプリント製作に対しポジティブ,中立,ネガティブな心情及び心情が不明な者,それぞれ1名ずつを関心相関的に選出した.データ収集法は授業終了後に授業中の意味体験を個別インタビューにて聴取した.データはKJ法によりまとめた.
 授業前はスプリントに対し関心とイメージが乏しく,作成に対し困難感を抱いていた.また基礎科目との関連付けがなされていなかった.授業中は初めて触れる素材に楽しみながら,機能や障害像,手の形状を考えて作成していた.特に自他の作成したスプリントを互いに比較する体験からスプリントの個別性の認識を高め重要性が向上していた.また同種のスプリントを2回作成する体験から,相手の心情を尊重して作成することにつながり興味関心が高まっていた.学生間評価は,相手評価と自己評価の差によって不安感が残っていた.またスプリントと作業との関連は,スプリントを試用する体験から相手の作業を意識できるようになった.授業後は,スプリントの重要性向上と自身の課題発見,更に将来を見据えた体験となり再挑戦したいと感じていた.また将来的にはクライエントに必要とされる作業に根ざしたスプリントを作成できるようになりたいと考えるようになっていた.授業の短所は,薄い臨場感が臨床場面への不安や怖さに繋がっていた.
 結果より,授業にて相手の意見を聴取しスプリントを再作成することができた.それが成功体験となり,スプリントに対して興味や重要性向上,OTが行うスプリント療法の独自性を認識できた.しかし薄い臨場感は学内教育の限界でもある.授業の改善案は,基礎科目の内容を含んだ作成手順説明や学生間評価の枠組みを見直し,自己評価と他者評価の整合性を高められる工夫が必要である.