アサイ ユウジ   ASAI, Yuji
  浅井 友詞
健康科学部 リハビリテーション学科
教授
発表年月日 2024/09/15
発表テーマ 末梢前庭障害患者の理学療法によるめまいの自覚症状の改善と静的および動的バランス改善の検討
発表学会名 第12回運動器理学療法学会学術大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 川村 愛実,浅井 友詞,堀場充哉,藤田ひとみ,蒲谷嘉代子,勝見さち代,福島諒奈,岩﨑真一,村上里奈,植木美乃
概要 末梢前庭障害によるめまい・ふらつき症状に対し,前庭リハビリテーション(VR)が有効であるとされている。我々はこれまでに3ヵ月の理学療法士(PT)介入で,めまいの自覚症状を評価するDizziness Handicap Inventory(DHI)が有意に改善することを報告した。今回は,バランス機能改善に着目して,Timed Up and Go test(TUG)および重心動揺検査を用いて検討した。 DHIの点数が28点以上である中等症以上の末梢前庭障害患者19名(男性2名,女性17名,年齢66.2±15.1歳)を対象に,PTにてVRを週1回の頻度で5回,月1回の頻度で2回実施,Home exerciseは毎日2回,20分以上の実施を指導した。VRの内容はGazestability exercise,Habituation exercise,Substitution exerciseとした。またJacobsonらの改善度指数より,DHIにて18点以上の改善を改善群,18点未満を非改善群と分類し,動的評価はTUG,静的評価は重心動揺検査(アニマ社)を用いて評価した。解析は,各群について正規分布を前提としたt検定によるTUGおよび重心動揺総軌跡長の効果量(d)を算出した。DHIから11例(62.4±17.0歳)を改善群,8例(69.8±10.7歳)を非改善群に分類し,両群間で年齢に有意差を認めなかった。TUGの快適歩行では健側および患側回旋において改善群でd=1.73,d=1.75,非改善群でd=0.02,d=0.04,努力歩行では健側および患側回旋において改善群でd=1.58,d=1.41,非改善群でd=0.06,0.001であり,改善群ではTUGの改善を認めた。重心動揺総軌跡長のラバーなし条件では,改善群で開眼d=0.54,閉眼d=0.77,非改善群で開眼d=0.15,閉眼d=0.02であった。ラバーあり条件では,改善群で開眼d=0.16,閉眼群d=0.53,非改善群で開眼d=0.16,閉眼d=0.07であり,改善群の閉眼条件において重心動揺総軌跡長の改善を認めた。VRは頭位変換による前庭刺激によりめまい・ふらつき症状を改善し,身体活動の向上を図ることを目的とする。今回のDHI改善度指数の分類より,改善群ではTUG,重心動揺総軌跡長の効果量は高値であることから,VRは客観的視点からも有効であることが示唆された。一方,非改善群はTUG,重心動揺総軌跡長の効果量も低値であり,DHIの細項目やTUG,重心動揺総軌跡長との関係を分析し,VRプログラムを今後検討する必要がある。