オオハシ ユキミ
OHASHI, Yukimi 大橋 幸美 看護学部 看護学科 教授 |
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発表年月日 | 2023/11/26 |
発表テーマ | 愛知県内の外国人集住地域に暮らす不就学の多国籍住民の子供の健康サポート活動について―2009年から2022年まで |
発表学会名 | グローバルヘルス 合同大会2023 第38回日本国際保健医療学会学術集会 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
発表者・共同発表者 | 大谷かがり、大橋幸美、新家彰子、清水いづみ |
概要 | 【背景】1990年に出入国管理及び難民認定法が改正され、日系3世までが特別在留資格を得ることになり、ブラジル人やペルー人がデカセギを目的に来日した。それ
は現在も続いている。デカセギにやってくるブラジル人は、定住しない、移動を続ける人びととして語られてきた(Linger 2001)。我々は不就学のブラジル 人やペルー人の子供を対象にした日本語教室を開催するNPOスタッフから、子供たちの健康の相談を受けていた。相談の内容は多岐にわたるため、継続的なサポートの 必要性を感じ、2009年から断続的に、このNPOの日本語教室に通うブラジル人やペルー人の子供を対象にした健康相談会を行っている。その後相談者の国籍はベト ナム、フィリピン、中国など多岐にわたるようになり、来日した理由もさまざまであった。日本の小中学校に通えない/通っていないため、健康診断を受けられない、健 康に不安があるという共通の悩みがあった。<BR>【活動】2009年から2022年まで、8月から10月にかけて、豊田市やみよし市の、不就学の多国籍住民の子 供を対象に、年1回健康相談会を開催した。その内容は、問診、身長・体重測定、BMI計算、視力検査、健康に関する講話、男女別の具体的な性教育であった。食事を 十分に食べられない子供も多く存在するため、コロナ禍前までは昼食を無料で提供した。保護者とともに参加する子供もいた。<BR>【成果】2010年から2022 年までの参加者総数は248名であった。参加者の国籍は、ブラジル、中国、フィリピン、パキスタン、スリランカ、ペルー、ベトナム、バングラデシュ、台湾、アルゼ ンチン、ネパール、パラグアイ、ボリビアの計13か国であった。全体の参加者総数のうち、48.8%がブラジル人であった。参加者は1歳から20歳であり、平均年 齢は13.89歳、生物学的性別は、男子131名、女子117名であった。話はコミュニティ通訳を介して聞いた。孤食の子供は約12%、朝・夜食を食べることがで きない子供もいた。家族構成は複雑であることが多かった。保護者の職業は工場の夜勤務、長距離トラックの運転手など、国籍によって傾向があり、親の仕事に子供の生 活が影響を受けていた。親に対する不満や悪口を述べる子供は一人もなく、保護者の身体を心配していた。子供は頭痛、便秘などさまざまな健康の不安を抱えていたが、 相談する人がなく、自分の体を心配していた。<BR>【結論】仕事に追われ、生活が安定せず、子供の健康に関心が持てない/関心を持つ気力がない保護者が存在する ことが分かった。2019年4月、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部が改正され、単純労働分野への外国人労働者の受け入れが拡大された。今後日本で 暮らす外国籍住民は増えていくと予想される。学校保健安全法の対象ではない不就学の外国籍の子供の健康を支える仕組みの構築が求められる。 |