コダマ ユウ   KODAMA, Yu
  兒玉 友
スポーツ科学部 スポーツ科学科
准教授
発表年月日 2025/11/08
発表テーマ 地域におけるユニバーサルスポーツの展開方策に関する研究 ~名古屋市の障害者施設等におけるスポーツ習慣化事業を事例として~
発表学会名 第 49 回日本障がい者体育・スポーツ研究会
主催者 日本障がい者体育・スポーツ研究会
学会区分 研究会・シンポジウム等
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催期間 2025/11/08~2025/11/09
発表者・共同発表者 荒賀博志、兒玉友
概要 本研究は、名古屋市が2024年度に障害者福祉施設を対象として実施したユニバーサルスポーツ体験会を通じ、利用者のスポーツ体験の機会創出、施設職員の実践力向上、地域イベントへの参加促進の可能性を明らかにすることを目的とした。対象は、身体・知的・精神の各障害者施設2か所ずつ計6施設で、各施設で2回の体験会を実施した。指導は著者、スポーツ推進委員、学生ボランティアが担当し、加えてeスポーツ(TANO)体験も行った。
体験会では、ボッチャ、卓球バレー、椅子に座って行うボール運動の3種目を中心に、複雑さを排し分かりやすく段階的に難度を調整する構成とした。ボッチャでは新聞紙やペットボトルなど身近な用具を活用し、卓球バレーでは全員ラリーからゲーム形式まで変化をつけた。ボール運動では個人・ペア・グループでの活動を組み合わせ、成功体験が得られるよう工夫した。TANOではモーション感知を用いた遊戯型トレーニングを行い、多様な障害特性に対応した。アンケートでは、参加者から「新鮮で取り組みやすい」との声が多く、スポーツへの親近感が高まった。職員からも、身近な用具を使った工夫への理解、自発的な実践への意欲、スポーツを介した利用者同士の自然な交流の促進などが報告された。また、「スポーツ=厳しい」という先入観の変化や、施設外の大会参加への期待も示された。スポーツ推進委員の参画は、施設と地域のイベントをつなぐ役割を果たす可能性がある。
以上より、ユニバーサルスポーツは施設における導入と習慣化に有効であり、利用者・職員双方に意義ある取り組みであることが示唆された。今後は職員や推進委員への継続的支援、複数施設間での情報共有を通じ、地域全体での普及が求められる。