アサイ ユウジ   ASAI, Yuji
  浅井 友詞
健康科学部 リハビリテーション学科
教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2020/09
形態種別 学術雑誌
査読 査読あり
標題 The protective role of localized nitric oxide production during inflammation may be mediated by the heme oxygenase-1/carbon monoxide pathway
執筆形態 共同
掲載誌名 Biochemistry and Biophysics Reports
掲載区分国外
巻・号・頁 23(9),1-10頁
著者・共著者 Masahiro Iwata, Shingo Matsuo, Takayuki Inoue, Wakako Tsuchida , Yuji Asai , Kiyomi Hori , Shigeyuki Suzuki
概要 本研究の目的は,一酸化窒素(nitric oxide: 以下,NO)が抗炎症作用を発揮する根本的なメカニズムを,ラットの急性炎症モデルであるカラゲニン胸膜炎を用いて検証することである。起炎物質であるカラゲニンをラットの胸腔内に投与すると,6時間後をピークとする著明な誘導型NO合成酵素(inducible NO synthase: 以下,iNOS)活性の上昇とNO産生がみられ,組織学的には炎症局所への著明な白血球の浸潤と滲出液の貯留が観察された。iNOSの酵素活性の阻害薬としてAE-ITUを投与したところ,カラゲニンによるNO産生は有意に抑制されたが,反対に炎症反応は有意に悪化(白血球浸潤と滲出液貯留量の増加)した。続いて,NO発生試薬であるNOC-18がカラゲニン胸膜炎に与える影響を検討した。その結果,投与時のNOC-18濃度に依存したNO産生の増加と炎症反応の低下を認めたが,この炎症反応の低下はheme oxygenase-1(以下,HO-1)阻害薬であるZnPP-IXの同時投与によってほぼ完全に抑制された。さらに,HO-1の代謝産物である一酸化炭素(carbon monoxide: 以下,CO)の,カラゲニン胸膜炎に対する効果を検討した。その結果,CO放出分子であるCORM-3は,用量依存的に炎症反応を低下させたが,COを放出しない不活性CORM-3では炎症反応に変化はなかった。以上のことから,カラゲニン胸膜炎におけるNOの抗炎症作用は,NOS/NO/HO-1/CO経路を介して発揮されることが示唆された。