アサイ ユウジ
ASAI, Yuji 浅井 友詞 健康科学部 リハビリテーション学科 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2010 |
形態種別 | 学術雑誌 |
査読 | 査読あり |
標題 | Involvement of nitric oxide in a rat model of carrageenin-induced pleurisy |
執筆形態 | 共同 |
掲載誌名 | Mediators of Inflammation |
掲載区分 | 国外 |
概要 | 本研究は,一酸化窒素(nitric oxide: 以下,NO)が炎症反応に対して催炎的に働くか,抗炎症的に働くかを明らかにすることを目的として,実験的炎症モデルであるカラゲニン胸膜炎を惹起し,検討した。その結果,カラゲニンをラットの胸腔内に投与すると,6時間後をピークとするNO産生が起こり,このNO産生は炎症局所(胸腔内)に投与した選択的誘導型NO合成酵素(inducible NO synthase: 以下,iNOS)阻害薬であるAE-ITUの存在下に著明に抑制された。iNOS阻害薬によるNO産生の抑制は,炎症局所への白血球浸潤および滲出液貯留量を増加させ,活性酸素の一種であるsuperoxideの過剰産生による酸化・抗酸化バランスの不均衡を誘発し,炎症性サイトカインおよびケモカインを増加させたことから,NOS阻害薬により特にiNOS由来の内因性NOが抑制されると,炎症反応が有意に増悪することが示唆された。一方,炎症局所(胸腔内)へのNO発生試薬(NOC-18)投与による外因性NOの補充は,炎症反応を有意に軽減(白血球浸潤の抑制,滲出液貯留量の減少,superoxideの産生抑制,炎症性サイトカインおよびケモカインの減少)させた。NO発生試薬による炎症反応の軽減効果は,NOS基質(L-arginine)を投与した際にも認められたことから,炎症反応の軽減はNOによって享受されていると推察された。これらの結果は,内因性NOが抗炎症作用を有するとともに,外因性NOの補充によっても抗炎症作用が発揮され,炎症反応を著明に改善できる可能性を示している。 |