アサイ ユウジ   ASAI, Yuji
  浅井 友詞
健康科学部 リハビリテーション学科
教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2020/05
形態種別 学術雑誌
査読 査読あり
標題 Effects of cyclic stretching exercise on long-lasting hyperalgesia, joint contracture, and muscle injury following cast immobilization in rats
執筆形態 共同
掲載誌名 Physiological Research
掲載区分国外
巻・号・頁 69(5),861-870頁
著者・共著者 Kazuhiro Hayashi, Saori Fukuyasu-Matsuo, Takayuki Inoue, Mitsuhiro Fujiwara, Yuji Asai, Masahiro Iwata, Shigeyuki Suzuki
概要 ギプスによる関節固定は患部の安静や治癒目的に行われるが,その弊害として疼痛の発生が報告されている。本研究の目的は,間歇的ストレッチング運動がギプス固定終了後に生じる持続性の痛覚過敏,関節拘縮,および筋損傷の軽減に有効であるのかを,ラットのギプス固定慢性痛モデルを用いて検証することである。8週齢のWistar系雄性ラット17匹を対照群5匹と,両側足関節を最大底屈位で4週間ギプス固定し,慢性疼痛(chronic post-cast pain: 以下,CPCP)を惹起する実験群12匹に分け,実験群はさらに,1)固定期間終了後にギプスを除去し,通常飼育を2週間実施するCPCP群(n=6),2)同様に固定期間終了後に通常飼育とし,加えて間歇的ストレッチング運動を2週間実施するCPCP+STR群(n=6)に分けた。間歇的ストレッチング運動は小動物用他動運動装置を用いて,40°の可動範囲で足関節の底背屈運動を行い,腓腹筋を4秒に1回のサイクルで伸張し,これを1日30分,週6回行った。評価指標は足底皮膚への触刺激による逃避反応回数(von Frey hair test),腓腹筋に対する筋圧痛閾値(Randal-Selitto test),足関節最大背屈角度とした。また,実験期間終了後に腓腹筋を採取し,凍結横断切片を作製後,Hematoxylin-Eosin染色に供し,総筋線維数に対する壊死線維数の割合を計測した。その結果,CPCP群およびCPCP+STR群では対照群に比べ足底皮膚への触刺激による逃避反応回数が増加し,腓腹筋に対する筋圧痛閾値および足関節最大背屈角度が低下し,壊死線維数の割合は高値を示したが,これらの病変はCPCP群よりもCPCP+STR群の方が軽度であった。以上のことから,間歇的ストレッチング運動はギプス固定終了後に生じる持続性の痛覚過敏,関節拘縮,および筋損傷の軽減に有効であることが示唆された。